DR BLOG院長ブログ

院長ブログ

積極的にピロリ菌検査を受けましょう|ピロリ菌とは?検査や治療方法について

今回は、胃がんのおよそ98%が原因となっているピロリ菌感染についてと、感染することで考えられる病気やその検査方法についてお話しします。

ピロリ菌とは

ピロリ菌は、正式名称『ヘリコバクター・ピロリ』といいますが、ヘリコはヘリコプターのヘリコのように「螺旋(らせん)」という意味を持ち、ピロリは胃の出口(幽門)を意味する「ピルロス」からきています。胃の中に在中し、粘膜に貼りつき毒素を出すことで胃に炎症を引き起こす菌です。

このピロリ菌の感染は、乳幼児期(4歳以前)に起こります。なぜならばこの時期は消化管の免疫システムがしっかりしておらず、体に取り込まれたピロリ菌は排除されずにそのまま胃の中で居着いてしまうからです。

そしてこのピロリ菌の大きな特徴は、空気中では感染しないことです。酸素にさらされると徐々に死滅していく菌のため、多くの場合はピロリ菌保菌者の母親などから口移しで食事与える際に感染が生じます

ピロリ菌感染によって引き起こされる病気

胃がんの原因の98%はピロリ菌感染によるものですが、このピロリ感染胃炎が長く続くと萎縮性胃炎という胃がんになりやすい状態に陥ります。

さらに、このうち1%未満が分化型胃がんへと進行するのです。

また、萎縮性胃炎にならずピロリ感染胃炎の状態から発症する病気もあります。発生する病気は以下のような病気があります。

  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 胃MALTリンパ腫
  • 機能性胃腸症(FD=機能性ディスペプシア)
  • 胃ポリープ
  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
  • 未分化型スキルス胃がん

このように、女性に多い未分化型のスキルス胃がんもピロリ感染胃炎から生じます。

ピロリ菌の除菌方法について

治療はピロリ菌除菌専用の薬を1週間飲むだけで7割以上は除菌が可能です。ただしピロリ菌除菌は胃がんの再発を60%抑えるものの、100%ではないことが分かってきました。

さらに、高齢になってから除菌しても抑制率は20~30%にとどまること、逆に若ければ若いほど予防効果が高いことも分かったのです。そのため、ピロリ菌は早期発見が大変有効となります。

ピロリ菌の検査について

早期発見が望ましいこともあり、当院ではできるだけ若いうちにピロリ菌の検査(ABC検査)を受けることを提案しております。若いうちに除菌しておけば、胃がんだけでなく胃潰瘍、ポリープなどの胃の病気を将来にわたってほとんど予防することができるからです。

現在、全国のいくつかの自治体でも中学・高校生に対するピロリ菌検査が行われるようになってきております。私は、以前から成人式の時に一宮市が無料の検査をしてくれたらよいのに、と提案しておりました。

また、家族の一人が陽性であることが判明した場合、親、子供、兄弟も接触的にチェックすることをお勧めします。簡単な血液検査(ABC分類検査)でピロリ菌の判定が可能です。

ABC分類検査

ペプシノゲン法とピロリ抗体検査を組み合わせることで胃の健康度を調べることができる検査となっています。

分類 判定 胃の状態
A 陰性

おおむね健康的な胃粘膜

ピロリ菌に関連しない胃の病気には注意が必要

B 陽性

少し弱った胃粘膜でピロリ菌の除菌治療が必要

胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの注意が必要。

C 陽性

萎縮が進んだ弱った胃粘膜でピロリ菌の除菌治療が必要

胃がんのリスクが高いので、定期的な胃カメラ検査が必要

D 陽性

ピロリ菌抗体検査では陰性

非常に萎縮が進んだ弱った胃粘膜でピロリ菌の除菌治療が必要

胃がんのリスクが高く、かならず専門医療機関での精査が必要

最後に

当院では、採血によるABC検査にて簡単にピロリ菌の有無を確認することができます。検査結果が出るまでにはおおよそ1週間ほどお時間をいただいておりますので、1週間後以降の受診をお願いいたします。

また、受診される際は当院の休診日をあらかじめご確認いただきご来院下さい。

【7月臨時休診のお知らせ】

【8月休診日のお知らせ】