糖尿病の方にみられる腎臓病には2種類あります
1・糖尿病が腎臓病の原因となっている場合(糖尿病性腎症を含む糖尿病関連腎臓病)
2・糖尿病と直接関連しない腎疾患(IgA腎症など)に罹患している方が糖尿病も合併している場合
両者は治療方法も予後も大きく異なるため区別することが大切です。
今回は前者の糖尿病腎症について詳しくお話いたします。
糖尿病性腎症とは
糖尿病で高血糖状態が続くと組織のたんぱく質に血液中のブドウ糖が結合し、腎臓のろ過フィルターである糸球体の小さな血管を傷つけて血管を詰まらせたり破れたりした結果、腎臓の機能が低下すると考えられています。
同様に目や神経などの細い血管も障害されると
・糖尿病性網膜症
・糖尿病性神経症
の合併症を起こします。
糖尿病性腎症を発症するまでの期間は?
糖尿病の方が腎症を発症するまで個人差はありますが、通常10~15年かかるといわれています。
発症してから進行するまで
検尿で使う試験紙では検出できないほどの微量のアルブミン尿が認められます。
尿試験紙で簡単にわかるくらいの蛋白尿が排出されます。
徐々に腎機能が低下して末期腎不全に至ります。(末期腎不全になると多くの方は透析が必要になります。)
予防をするには?
血糖を管理することに加え、定期的に検査を行うことが重要です。
また、異常が認められた時は早期に治療を開始することが大切です。
治療について
これまではいったん発症した腎症の進行を抑制することは大変困難でしたが、最近ではSGLT-2阻害剤に加え選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬などの新薬も開発されています。
これらを早期に導入することで予後が大きく変わることが期待されています。