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糖尿病Q&A

インスリンの自己注射が必要と言われました。一生続けないといけないのでしょうか

60代男性です。糖尿病でここ5年ほど、飲み薬に加え食事療法、運動療法を続けてきましたが、先日かかりつけ医からインスリン自己注射が必要と言われました。それほど悪くなってしまったのかとショックでしたが、インスリンは一生続けなければいけないのでしょうか?

 

状況によっては、インスリン治療が不要になることがあります。

1型糖尿病の患者様で、経口薬に加え食事や運動療法で、コントロールできずに高血糖状態が長期間続く場合では、インスリンを分泌するすい臓のβ 細胞が疲れ果て、その結果インスリンを分泌する能力が低下し、いずれはすい臓の機能荒廃に至ります。

1型糖尿病の場合には、すい臓のインスリン産生細胞(β細胞)が自己免疫という機序によって破壊され、インスリンの産生が完全に停止または、ほとんど産生されなくなるので、体は絶対的なインスリン不足に陥ってしまうのです。そのため、1型糖尿病にはインスリン治療は一生必要になります。

一方、糖尿病患者様の中には、すい臓がインスリンを出す力がまだ残っている患者様がいます。そのような患者様では、インスリンを注射することで、すい臓からのインスリン分泌能を回復させ、一時的にインスリンを使用しても、その後再び経口薬だけでも血糖がコントロールできることもあります。

このようなインスリン療法ですい臓を一時的に休ませてあげることを目的とする場合は、比較的早期にインスリン療法を開始する必要があります。インスリン注射=もう末期とお考えの方が多いですが、インスリン注射のほうが、経口薬とちがって細かく血糖調節できる点でより安全であり、近年は薬剤の剤形が改良され、とても簡単に注射できるようになりました。

1型糖尿病や妊娠糖尿病、その他の理由でインスリンが必要になっている場合は、インスリンの産生が完全に停止している状態ではなく、相対的に不足している状態と考えられますので、状況に応じて、たとえば血糖値が正常近くに保持できるようになると、インスリン治療が不要になることがあります。